「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を調べて就職に縁起

今回のブログ記事は学生向けの内容です。

過日のNHK「ドキュメント72時間」は資格取得の学校が舞台でした。

その中に労働基準監督官を目指す大学生がいました。

動機はアルバイト先のブラックな現実を目の当たりにし、その是正に努めたいと思ったからです。

その労働基準監督署といえども全てのブラック企業を把握できるはずはなく、厚生労働省労働金監督局が公表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に掲載されている会社は明らかな労働基準法違反であるといえます。

インターネット上で公表されているので今どきの学生は就活の一環としてこの会社一覧を希望先から除外しているのでしょう。

昨日は春闘の一斉回答日で、満額回答をはじめとする大企業の良好な回答が並ぶホワイトボードをニュース番組が映していました。

それを見て頷く連合会長の表情もカメラは捉えていました。

翻って、中小企業、特に小規模事業所は雇用の維持が精いっぱいで給料を上げることは極めて困難です。

大企業が潤えば中小企業も潤うという首相時代の故安倍晋三氏がアベノミクスの中で強調した「トリクルダウン」は、現政権にとってなかったことにしたいスローガンです。

「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で私の目を引くのは賃金関係の違反です。

時間外労働の隠蔽(時間外手当てを払わない)、有給休暇の制度はあっても有給休暇を取得させない(休めば無給扱い)、所定の休憩を取らせない(労働時間を過少申告させる)など枚挙にいとまがありません。

これらは働く者の生活を脅かす不当行為です。

会社都合の解雇を自主退職に追い込むことも失業手当に直結し、やはり働く者の生活を追い込む行為です。

労働災害による傷病を私生活における傷病として健康保険で治療させる行為も、その後の傷病手当や休業補償を受け取れなくなり、障害が残れば心身障害の認定にも関わってきます。

 

待遇の良さの裏にあるブラックを見出すことは学生には難しいことですが、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」などで自己防衛して就職の縁起としてください。