「お客様は神様です」の無知なカスタマ・ハラスメント、呪詛を寄せずに縁起

このブログでは何度か「お客様は神様です」の誤用を指摘しました。

私の知人が、客の価格に関する質問に即答できず価格表を調べ始めたら、罵声と説教が延々と続いたそうです。

典型的なカスタマ・ハラスメントです。

その客の罵声は「『お客様は神様です』って言葉知ってるか」から始まったとのことです。

客の権幕が怖くなって固まってしまい、罵声に黙って耐え、他の仕事ができなかったそうです。

威力業務妨害とは言えないでしょうが、業務を中断させたという点で業務妨害です。

「お客様は神様です」で始まるカスタマ・ハラスメントはよく聞きます。

昭和の国民的歌手が言ったこの言葉は、字面どおりに曲解して、カスタマ・ハラスメントを正当化するように誤用されています。

その歌手の真意は、神様の前に立っているつもりで歌っているとのことです。

 

その光景を例えるなら、神在月(神無月、11月)の出雲大社で八百万の神が揃った前で歌う、平成風に表現するなら「千と千尋の神隠し」の「湯屋」の宴会場で神様の前で歌う、といったことでしょうか。

神様を楽しませ、神様に恥ずかしくないエンターテイメントに全力を尽くす、つまりいつ神様がご覧になっても恥ずかしくないステージに努めるという趣旨です。

人を神様と同格にしているのではありません。

その歌手がいう「お客様」とは神様のことで、人ではりません。

それを字面どおりに解釈して客=人=神と誤解されたことに、令和までカスタマ・ハラスメントの悲劇が続いています。

 

「お客様は神様です」の精神性、「お天道様は見ているぞ」にも通じる、自分を誤魔化さないが廃れて、カスタマ・ハラスメントの呪詛のごとく悪用されていることは残念です。

接客業をはじめとする働く人には、カスタマ・ハラスメントの呪詛に憑りつかれないよう、ささやかな呪詛返しを心掛けてみなしょう。

その呪詛返しは、その無知を内心で笑うことです。

 

内心で笑えば仕事に縁起です。