スキミングプライスを卒業したテスラとEV市場、中国ビジネスで仕事に縁起

EV(電気自動車)市場は動きが激しく、日本の自動車メーカーでは世界シュアのトップ3になるマーケティング戦略を打ちにくいかもしれません。

EV市場の頂点に立つテスラは高級車のモデルSとモデルX、普及版(それでも庶民には高根の花)のモデル3とモデルYが主要な車種構成です。

同社は米国の富裕層からマーケティングを展開してスキミングプライシング(スキミングプライス=上澄み価格=高価格、で開発など先行投資を早期に回収する価格戦略)の高級車を投入しました。

普及版のモデル3を量産するにあたって、工場の自動化に相当の費用と時間をかけました。

半自動生産の試行錯誤は同社の財務を悪化させ、経営破綻の噂が流れたほどです。

しかしコスト競争力では日本やドイツのEVを凌駕するとも噂が流れています。

近年、テスラはモデル3とモデルYを戦略的に値下げしています。

中国での価格競争力を維持するためでしょうが、テスラは普及版EVでペネトレーションプライシング(ペネトレーションプライス=浸透価格、手ごろな値段で市場シェアを獲得する価格戦略)を強化しています。

一方で米国はEVに対する保護政策を強化します。

中国製EVを排除するために、調達する部品の履歴(米国内で生産したか、その原材料は米国由来か)を重視して補助金を交付し、日本製EVやドイツ製EVは補助金の対象から外れました。

米国製EVメーカーの中にも部品調達の基準を満たせず、補助金の対象外になったほど厳しい制度です。

さて、日本でEV事業を展開する中小・中堅企業は日本製EVでなく廉価な中国製EVを販売し、カスタマイズし、保守整備しています。

中国EVメーカーは日本でバスや小型貨物車を販売し、走行データを蓄積することで、普及価格帯のノウハウを高めるでしょう。

日本の商用EV(トラック、バスのこと)の中国製EVに対する勝機は自動走行にあります。

バスの無人運航やトラックの無人隊列走行は試験段階にありますが、実用段階でこれらを導入できるのは大企業に限られます。

日本のモノ作りは、半導体では半導体製造よりも製造設備や薬剤に強みがあるとされますが、EVも完成車製造よりも部品製造にしか強みが残らなくなるのではないでしょうか。

EVは世界最大市場の中国を向いて事業が営まれています。

部品も中国EVメーカーに向けて製造しなければ規模の経済を享受できません。

一方、日本のEVビジネスでは調達コストで勝る中国製EVが用いられるでしょう。

中小・小規模事業者が中国からの調達、いわゆる中国ビジネスに取り組むなら窓口はJETROですが、初めてのJETROは敷居が高そうです。

それなら最寄りの商工会議所や商工会を訪ねてみましょう。

JETROの窓口を紹介してくれます。

中小企業や小規模事業者がEV分野に参入するなら中国は避けて通れません。

中国ビジネスで仕事に縁起です。