晦日に考える「プロテクション ラケット」

月末に秀逸の記事(雉ではありません!)に出会いました。

今日付中日新聞朝刊の視座です。

筆者は田中優子氏(法政大学前学長)で、タイトルは「守ってやるぞ詐欺」。

プロテクション ラケット(protection racket)は米国の社会学者(歴史社会学)のチャールズ・ティリー氏が著書の中で用いた言葉で、岡野八代氏(同志社大学教授)が著書の中で「守ってやるぞ詐欺」と訳したことを田中氏が紹介しています。

暴力団等の「みかじめ料」は分かりやすい例ですが、対立や敵を生み出すことでそれらの脅威から守ることを唱える国家や宗教にも「守ってやるぞ」のメッセージに溢れています。

カルト宗教はこの世の終焉からの救済、人の世に潜む悪魔からの保護など「守ってやるぞ」で勧誘・洗脳していきます。

ロシアが仕掛けたウクライナ戦争の大義名分は、ウクライナに住むロシア人を「守ってやるぞ」ですが、そもそもロシア人を保護し出国される避難活動すらしておらず、日本人の常識からすれば大義名分は成り立ちません。

日本では経済安保の枠組みで対立関係が確立しています。

日本に対して間接・直接に威嚇行為や不利益行為を仕掛けてきたのは対立国が先です。

法改正で現地の日本企業が一方的に不利益を被る状況では、「プロテクション ラケット」の視点だけで対立関係を否定できるものではありません。

しかし実効性(ミサイルを迎撃する確率が不明瞭で、ミサイル防衛を何か月続けられるかも明らかにされていない)に疑問がある防衛力増強計画は見守っていくことが大切です。

防衛産業に関われる中小企業に限らず、有事の水、食料、医療、衛生などの補給に関わる事業、シェルター、サバイバルキットなど有事の自助事業など中小企業ならではの危機管理事業分野もあります。

衣食住に関わる事業は工夫次第で危機管理事業になります。

月に一度はその可能性を検討したいものです。